炭酸水の美容効果を検証 ― 飲む・塗る・浸かるの正しい使い方

炭酸水の美容効果は飲む・塗る・浸かるで変わる|用途別の効果と正しい使い方

炭酸水の美容効果が気になって調べてみると、飲む・肌に塗る・お風呂に入れるなど使い方がさまざまで、結局何がどう効くのかわからない ― そんな疑問をお持ちではないでしょうか。「くすみが目立つ」「毛穴が目立つ」といった肌悩みに、炭酸水はどこまで応えてくれるのか。

結論からお伝えすると、炭酸水の美容効果は「飲む」「塗る」「浸かる」で大きく異なります。飲用で期待できるのは主に胃腸への刺激であり、肌への直接的な効果は限定的です。一方、炭酸ガスを肌に直接ふれさせる「塗る」「浸かる」では、血行をサポートする働きが期待できます。

本記事では、1997年頃から約30年にわたり炭酸コスメの研究・製造を行ってきたシーオーツープラス株式会社が、用途別の効果と正しい使い方を科学的な根拠にもとづいて解説します。「飲むだけで肌は変わるの?」という率直な疑問にも、炭酸コスメのメーカーだからこそ正直にお答えします。

目次

そもそも「炭酸水」とは何か ― 二酸化炭素が溶けた水の基本

炭酸水の定義と種類(天然・人工・炭酸化粧品)

炭酸水とは、二酸化炭素(CO₂)が水に溶け込んだ水のことです。炭酸水は大きく2種類に分けられます。

天然炭酸水 ― 地下から汲み上げた時点で天然の炭酸ガスが溶け込んでいる水です。ヨーロッパの水源が有名ですが、日本にも大分県の長湯温泉など限られた水源があります。

人工炭酸水 ― 工業的に水へ二酸化炭素を加圧充填したものです。コンビニやスーパーで購入できるペットボトルの炭酸水の多くがこれにあたります。

美容の文脈ではこれらに加えて、炭酸化粧品という別カテゴリがあります。炭酸化粧品は化粧品の処方の中に炭酸ガスを高濃度で溶解させた製品で、一般の炭酸水とは異なり、肌の上でも炭酸ガスが抜けにくいよう処方設計されています。

「炭酸ガスは肌に何をするの?」という疑問を持つ方は多いですが、その答えは使い方(飲む・塗る・浸かる)と、炭酸水を使うのか炭酸化粧品を使うのかによって大きく変わります。この違いを理解しておくことが、炭酸水を正しく使い分ける第一歩です。

炭酸ガスの分子が小さいから肌になじむ

炭酸ガス(CO₂)は非常に分子が小さい気体です。その小ささゆえに皮膚を通じて肌の奥まで届く性質を持っており、この性質が炭酸水を「肌に直接ふれさせる」美容法の科学的な根拠になっています。

炭酸が肌に届くと何が起きるのかについては、メカニズムを詳しく解説した別の記事がありますので、本記事では概要にとどめます。

重要なのは、炭酸ガスが肌になじむには一定の時間が必要だという点です。一瞬ふれさせるだけでは不十分であり、ある程度の接触時間を確保することがポイントです。

「飲む」炭酸水の美容効果 ― できることとできないこと

胃腸への刺激で便秘解消・食欲コントロール

炭酸水を飲んだときに期待できる主な効果は、胃腸への刺激です。

ロート製薬の情報サイト「太陽笑顔fufufu」で前田眞治氏が監修した記事によると、飲用で胃腸の蠕動運動が促進され、便秘の解消につながるとされています。また、食前に炭酸水を飲むことで満腹感が得られ、食事量のコントロールに役立てる方もいます。

ただし、これらはあくまで胃腸に対する効果です。「飲むことで肌に直接働きかける」というものではありません。

飲むだけで肌が変わるわけではない ― 炭酸美容家が正直に語る

ここで、メーカーとしての率直な見解をお伝えします。

私たちは自社ブログでも「炭酸水を飲むことによる肌効果はあまり見込めません」と率直にお伝えしています。約30年にわたり炭酸コスメを研究してきた経験から言えるのは、炭酸ガスが肌になじんで血行をサポートする「外用」の効果と、胃腸を刺激する「飲用」の効果は、根本的に異なるメカニズムだということです。

もちろん、便秘が解消されて体内環境が整えば、間接的に肌のコンディションにも好影響を与える可能性はあります。しかし「炭酸水を飲めば肌が変わる」という期待は、過大と言わざるをえません。

炭酸水の美容効果を肌で実感したいのであれば、「飲む」だけでなく「塗る」「浸かる」といった、炭酸ガスを肌に直接ふれさせる使い方を知ることが大切です。

「塗る」炭酸水の美容効果 ― 肌に直接触れさせるとなぜいいのか

肌にふれた炭酸ガス → 血管を広げる → 血行サポートの仕組み

「塗る」炭酸水の美容効果の核心は、炭酸ガスによる血行サポートです。

一般社団法人カーボンリサイクルファンドの記事で、前田眞治氏は「CO₂は皮膚の隙間から入っていって真皮にある毛細血管に届く」「大体5分くらいは炭酸に触れていないと炭酸の効果が得られない」と解説しています。

前田氏の論文(日本温泉気候物理医学会雑誌, 2011)では、炭酸泉が皮膚表面から浸透して毛細血管に達し、血中の炭酸濃度が上昇することで血管拡張作用が生じるメカニズムが報告されています。さらに、この血管拡張作用は炭酸濃度に比例して血流が増大するとされています。

つまり、炭酸ガスが肌にふれると血管が広がり、血行がサポートされるというのが基本の仕組みです。血行がよい状態の肌は、キメが整いやすく、ハリやツヤが保たれやすい傾向にあります。

なお、炭酸ガスの血行サポートのメカニズムをさらに詳しく知りたい方は、炭酸が肌に届くと何が起きるのかを解説した記事もあわせてお読みください。

炭酸ガスの気泡が古い角質や汚れを洗い流す

炭酸水の肌への効果として見逃せないのが、洗浄力です。

炭酸ガスの気泡には汚れに吸着する性質があるとされています。肌表面の古い角質や皮脂汚れに炭酸水がふれると、気泡がこれらに吸着し、やさしく浮き上がらせると考えられています。結果として、肌を清浄に保つ効果が期待できます。

ある40代の女性のケースをご紹介します。ご本人はずっと「地黒」だと思い込んでいたそうですが、炭酸を取り入れたスキンケアを続けたところ、「私ってこんなに肌が明るいんだ」と感じたとのことです。古い角質が洗い流されたことで、肌本来のトーンが見えるようになったと考えられるケースです。

※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。すべての方に同じ実感が得られるわけではありません。

炭酸水洗顔・コットンパック・頭皮ケアの正しいやり方

炭酸水を肌にふれさせる具体的な方法をご紹介します。スキンケアに使う場合は、成分表示が「水、炭酸」のみの炭酸水を選んでください。

炭酸水洗顔の効果と手順

洗面器に市販の炭酸水を注ぎ、顔をひたすようにして洗います。通常の洗顔料で洗った後の仕上げとして行うのがおすすめです。炭酸ガスの気泡が古い角質をやさしく浮き上がらせ、肌を清浄に保ちます。

コットンパック

コットンに炭酸水を含ませ、気になる部分に数分間のせます。先述のとおり約5分は炭酸にふれている必要がありますので、短すぎないよう注意してください。

頭皮ケア

シャンプー前に炭酸水で頭皮を湿らせることで、毛穴に詰まった皮脂汚れを浮かせやすくなります。頭皮を清浄にし、すこやかに保つケアとして取り入れている方もいます。

いずれの方法でも、**炭酸水は「ただの水」**であることを忘れないでください。洗浄はできますが保湿成分は含まれていないため、使用後は必ず化粧水や乳液で皮膚にうるおいを与え、水分・油分を補い保つケアを行ってください。

また、炭酸ミスト(吹きかけるタイプ)は肌への接触時間が極めて短いため、炭酸ガスによる効果はほとんど期待できません。炭酸を肌にふれさせるなら、洗顔やパックのように一定時間とどまる使い方を選びましょう。

なお、炭酸化粧水を使った拭き取りケアなど、炭酸化粧水の効果的な使い方については別の記事で詳しく紹介しています。

市販炭酸水と炭酸化粧品の決定的な違い ― 濃度と持続性

「何を使っても合わなかった」という方にとって、市販の炭酸水で手軽にスキンケアを試せるのは魅力です。ただし、市販のペットボトル炭酸水と炭酸化粧品との間には「濃度」と「持続性」という決定的な違いがあります。

濃度の違い

市販のペットボトル炭酸水には3,000〜4,000ppm程度の炭酸ガスが含まれています。しかし、開栓した瞬間から炭酸は急速に抜けていきます。コップに注いだ時点でかなりの炭酸が失われ、肌にふれる頃にはさらに濃度が下がっています。

一方、炭酸化粧品は肌に乗せた状態でも一定の炭酸濃度を維持するよう処方設計されています。当社では化粧液中の炭酸ガス溶解濃度を測定する独自のノウハウを保有しており、「1時間放置しても1,000ppm以上の炭酸ガスが溶け込んでいる」という実測データがあります。

持続性の違い

市販炭酸水は開栓後の炭酸の持続時間が短いため、手早く使い切る必要があります。炭酸化粧品は処方により、肌の上で一定時間炭酸ガスが肌になじみ続けるよう設計されています。

ここでひとつ、メーカーとして知っていただきたいことがあります。炭酸ガスが高濃度に溶け込んだ状態(1,000ppm以上)は、実はシュワシュワしません。

「シュワシュワしている=炭酸が効いている」というイメージを持つ方は多いのですが、水に溶けた状態の炭酸ガス(泡の出ない炭酸)こそが美容のポイントです。泡が見えるのは、むしろ炭酸ガスが水から抜けている状態です。

ただし、市場には濃度表示にカラクリがある製品も存在します。高濃度炭酸の濃度表示の真実については、別の記事で詳しく解説しています。

「浸かる」炭酸水の美容効果 ― 炭酸泉と炭酸風呂のポイント

全身浴で血行がサポートされる仕組みと1000ppmの基準

炭酸ガスが溶け込んだお湯に全身を浸けると、体全体の血行がサポートされます。先述のとおり炭酸ガスの血管拡張作用は濃度に比例するとされており、「塗る」と同じ原理が全身規模で働きます。

環境省の鉱泉分析法指針では、温泉水1kgあたりに遊離炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含まれているものが「二酸化炭素泉」として療養泉に分類されています。この1,000ppmが、炭酸ガスの効果を得るためのひとつの基準と考えてよいでしょう。

ロート製薬「太陽笑顔fufufu」の前田氏監修記事でも、40℃・1気圧の条件では1リットルに約1g(濃度1,000ppm)で飽和状態になるとされています。温泉施設の炭酸泉はこの基準を満たすよう管理されていますが、自宅で同等の濃度を再現するのは容易ではありません。

炭酸泉と炭酸化粧品の決定的な違いや、それぞれの使い分けについては、専門の記事で詳しく解説しています。

自宅で炭酸風呂を試すときの注意点(重曹+クエン酸のpH問題)

インターネット上では「重曹とクエン酸を混ぜて炭酸風呂を作る」方法が多数紹介されています。手軽ではありますが、注意すべき点があります。

日本経済新聞の記事で前田氏は、「重曹を使った炭酸水はアルカリ性に傾いているため、皮脂を取りすぎたり乾燥肌の場合は肌荒れの原因になることも」と指摘しています。一方、「水、炭酸」と表示されている市販の炭酸水は弱酸性であり、スキンケアに適しているとされています。

重曹を使った炭酸風呂では、炭酸ガスの発生は一時的であり、濃度を1,000ppm以上に保つことも困難です。pH値の問題と合わせて、自宅での炭酸風呂には限界があることを理解したうえで取り入れるのがよいでしょう。

炭酸水は肌に悪い? よくある疑問にメーカーが回答

刺激が強いときはどうすればいい?

開栓したての炭酸水はシュワシュワ感が強く、肌への刺激を感じる方もいます。特に肌が乾燥しているときや、肌荒れが気になるときは注意が必要です。

対処法としては、開栓後にしばらく置いて炭酸をやや抜いてから使う方法があります。また、炭酸水を直接顔につけるのではなく、コットンに含ませてやさしく当てるほうが刺激を抑えやすくなります。

それでも刺激を感じる場合は、無理に続けず使用を控えてください。

敏感肌でも炭酸美容はできる?

「敏感肌でも使える?」というご質問は非常に多くいただきます。

炭酸ガス自体は肌への負担が比較的少ない成分ですが、肌質には個人差があるため、すべての方に問題なく使えるとは言い切れません。敏感肌の方は、まず腕の内側など目立たない部分で試してから顔に使うことをおすすめします。

当社の炭酸化粧品は、肌への負担に配慮した処方設計を行っています。ただし、個人差がありますので、初めてお使いになる際はパッチテストをお願いしています。

炭酸水だけで保湿は十分?

結論として、炭酸水だけでは保湿は十分ではありません。

先述のとおり、市販の炭酸水は「ただの水」です。洗浄効果は期待できますが、保湿成分は一切含まれていません。「肌が乾燥する」という悩みをお持ちの方ほど、炭酸水で洗顔やパックを行った後に化粧水や乳液などで皮膚にうるおいを与え、水分・油分を補い保つケアを丁寧に行ってください。

「シンプルなケアでありながら、肌をすこやかに保ってくれる」方法を探している方にとっては、炭酸水洗顔+基本の保湿というシンプルなステップから始めるのがおすすめです。

まとめ ― 用途別・炭酸水の美容効果を正しく使い分けるために

炭酸水の美容効果を「飲む」「塗る」「浸かる」の3つに分けて検証してきました。ポイントを整理します。

飲む ― 胃腸への刺激による便秘解消や食欲コントロールが主な効果です。肌への直接的な美容効果は限定的であり、炭酸コスメを約30年研究してきた立場からも「飲むだけで肌が変わる」とは言えません。

塗る ― 炭酸ガスが肌にふれることで血行がサポートされ、さらに気泡が古い角質や汚れを浮き上がらせる効果が期待できます。肌のキメを整え、ハリやツヤを保ちたい方にとって、実感しやすい使い方といえます。ただし、市販の炭酸水は開栓後すぐに炭酸が抜けるため、濃度と持続性の面では炭酸化粧品に優位性があります。

浸かる ― 全身浴で血行のサポートが期待できますが、炭酸泉の基準である1,000ppmを自宅で再現するのは容易ではありません。重曹を使った炭酸風呂はpHがアルカリ性に傾くリスクもあるため注意が必要です。

大切なのは、それぞれの使い方で「できること」と「できないこと」を正しく理解し、目的に合った方法を選ぶことです。「何十年も化粧品を使うのに、高価で効果もわからないものを使うのは嫌だった」という声をいただくこともありますが、まずは炭酸水の仕組みを知り、自分に合った取り入れ方を見つけることが第一歩ではないでしょうか。

実際に炭酸スキンケアを始めてみたいという方は、化粧品としての炭酸の選び方を知ることで、ご自身に合った製品を見つけやすくなるでしょう。創業76年の製造業基盤を持ち、化粧品・医薬部外品の製造販売許可を保有する正規メーカーとして、私たちは科学的な根拠にもとづいた炭酸美容の情報をこれからもお届けしてまいります。

参考文献

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